ART BASE 百島

閉校になった尾道市百島の旧中学校舎を再活用し、アーティスト柳幸典と恊働者達による創作活動を通して、離島の創造的な再生を試みるアートセンター

プロジェクト概要

古代より「潮待ちの港」として知られた尾道水道から鞆の浦の海道の中間に位置する過疎化の著しい離島「百島」を一枚のキャンバスと見立てて、島の生活や環境を独創的な芸術作品として、志を同じくする者たちと育んでいくライフワークとしてのプロジェクトである。橋がないこと、コンビニエンスストアがないこと、都市と距離があること、これらをむしろ利点とするところから独創性と創造的生活が生まれると思っている。廃校であった中学校を拠点として、近隣の廃屋や空き家の創造的再生、耕作放棄地の創造的活用、などなど、見様によっては手付かずの宝の山である。埋もれた宝を見出す視点こそアーティストの領分であるはずだ。

柳 幸典

ART BASE 百島 2012年11月完成

1995年に犬島との出会いから始まった瀬戸内海の離島での柳のライフワークのさらなる展開である「ART BASE 百島」は、廃校となっていた旧百島中学校をリノベーションして、通常の美術館では対応が難しい大型作品の常設や、展覧会の企画、そして尾道水道をフィールドとしたアートによるまちづくりの活動拠点として2012年に開館。

乙1731-GOEMON HOUSE

2020年8月完成

百島の廃屋を、義賊としての石川五右衛門をコンセプトに、刺激的な現代美術と特大五右衛門風呂のある、アートと宿泊するゲストハウスに改修。

協力:工学院大学樫原研究室、尾道市立大学学生有志

旧支所 – ART BASE 百島

2021年4月完成

昭和29年に建造された沼隈郡百島村の村役場をゲストハウス&イベントスペースに改修。木造のレトロな雰囲気を残しながら、大広間のキングポスト・トラス構造をあえて見せるリノベーション手法などにより、百島で唯一の登録有形文化財に認定。

日章館

2014年8月公開

昭和36年に建造され廃墟化していた旧映画館を、当時の雰囲気を活かしながらアートで再生。 2013年より改修工事を始め、2014年夏には、内部公開と同時に一夜限りの映画館として「モスラ対ゴジラ」の上映会を開催。 現在は「日章館」と名称を改めて、柳幸典の「ヒノマル・イルミネーション」を常設展示。

百島について

百島は、瀬戸内海中部の尾道港から鞆の浦の海道の中間に浮かぶ周囲約11.9kmの島。本土と繋がる橋はなく、交通手段はフェリーのみの離島である。戦後はあさりの養殖などの漁業や柑橘などの農業で栄え、3000人近くまで増加した人口が、現在は378人に減少(2023年9月時点)。高齢化と過疎による空き家や耕作放棄地の問題に直面しながら、原風景を残した自然や文化を活用し、アート、農業、マリンスポーツ、別荘地など多方面での発展と移住者促進が取り組まれている。その他にも、1441年嘉吉の乱に敗れて百島に逃れた赤松満祐氏の一族が、幕府の追討ちに備えて弓の稽古をしたことに始まる「御弓神事」などの伝統文化、沼隈郡百島村時代に建てられた村役場(旧百島支所)は登録有形文化財に答申されるなど、多くの地域資源を有している。

アクセス

ART BASE MOMOSHIMA

〒722-0061 広島県尾道市百島町1440
TEL / FAX: 0848-73-5105